記念誌制作のスケジュールが決まったら、早速それに合わせて「企画」や「構成」を検討します。資料収集などを実施しようと思っても、手あたり次第に動いていればキリがないですし、目的とは関係のない情報まで集めてしまう可能性があります。そのため、今後の作業をスムーズに進めていくためにも、記念誌のページ数、使用する紙の材質、冊子のサイズ、デザインや色合いの方向性、さらには発行部数などを大まかに決めておきましょう。
資料収集や取材、原稿の執筆などを進めるまえに、企画や校正をより細かく決めておくことで担当者が自分の役割を把握しやすくなりますし、関係者や外部の制作会社とのやり取りもスムーズに進めることができます。
記念誌にはさまざまな種類があるため、「一般的な分厚い冊子タイプの記念誌にするのか」、「読みやすい漫画タイプやイラストを多く使った記念誌にするのか」、「外部に配りやすいようにDVDなどの収録する電子媒体タイプの記念誌にするのか」、あるいは「何時どこからでも閲覧できるWEBタイプの記念誌にするのか」など、目的や方針に合った構成方法をきちんと具体化しておきましょう。
企画や構成が決まったら、記念誌の制作に必要な「資料収集」や「関係者への取材」を進めていきましょう。会社や団体の責任で制作する記念誌には、誤った情報が記載されることがないように、資料収集を行うだけでなく関係者に取材を敢行して事実確認をすることも大切です。資料収集では、担当者が自ら収集できる情報もありますが、中には資料を集めるのが難しい情報が必要になる場合もあるため、その場合は各部署や外部の業者からのサポートを受けて確かな資料や情報を集めていきましょう。
また、最近は、ビジュアル的に優れた記念誌を制作するために、取材の一環として写真や動画を撮影することがあります。その場合は、事前に関係者に約束を取っておくことが大切ですし、スケジュールに支障をきたすことがないように、社内外でも綿密に連絡を取り合うことが大切です。
長いときはここまでの作業に半年ほどかかる場合もありますが、続いては資料や取材をもとに「原稿を執筆する」作業に入ります。記念誌制作の担当者が自ら原稿を執筆することもありますが、プロの編集者に原稿作成や校正、さらにはデザインなど、編集作業をトータルで依頼することも可能です。
制作された記念誌は、その後も長く保管される貴重な資料となるため、万が一大きな誤りがあってはいけません。そのため、校正作業には3~4カ月程かかるケースもありますし、これらの作業を自社ですべてやろうと思ったら、それ以上に時間がかかる大変な作業になるでしょう。
原稿の編集作業や最終的なデザイン制作が完了したところで、最終的な作業である「印刷」に入ります。関係者全員で完成したデータを隅々まで確認した後に、印刷会社に入稿して印刷してもらいます。外部の記念誌専門の制作会社では、編集作業だけでなく印刷作業も同時に請け負う会社もあります。
今回は、記念誌制作の流れを7つの段階に分けて紹介してきました。これらの作業は、最低でも1年、あるいは2~3年ほどかかる場合もあります。社内の担当者だけで作業ができる工程もありますが、原稿の執筆や校正、デザイン制作、印刷などの工程は、専門的な知識や技術をもったプロに任せたほうが安心です。
その他、綿密にスケジュールを組み立てていても、資料収集や関係者への取材で思ったよりも時間がかかる、上手く作業が進まないといったこともあります。その場合は、期日までに間に合わせるためにも途中でスケジュールを見直す、日程を調整するなどの工夫が必要です。